西村医院 駿東郡,長泉町,三島駅 小児科,産婦人科

 
こどものこころ

>>子どもは親に注目されたがっている?
>>続 アタッチメントって知っていますか?
>>アタッチメントって知っていますか?
 

子どもは親に注目されたがっている?

 

 親が子どもに関心を向けてくれるということは、子どもにとって大変嬉しいことなのです。だからこそ子どもは親をもとめて注意を引こうとします。いろんなことをして親の関心を引こうとするのです。この関心注目のカタチは子どもにとってはなんでもいいのです。褒めてもらえるという喜びは大人にとってもよくわかると思います。ところが子どもは、叱られたり怒られたりしても「親は自分に関心を向けてくれている」と感じてしまいます。なかなか共感できないかもしれませんね。親は子どもが困ったこと(マイナスな行動)をすれば怒ります。何度でも怒ります。すぐ怒ります。しかし困ったことに、子どもはマイナスな行動をして怒られることは親に見てもらっていると感じて、何も関わってくれないより快感が生まれるのです。まあ親はまんまとはまっているとも言えるかもしれません。叱責、批判、怒鳴りつけなどのマイナスの注目でも、ないよりはましなのです。良い行動(プラスな行動)をしてほめられることも、嫌な行動(マイナスな行動)をして怒られることも「親の関心を引く」ということでは同じなのです。だとすれば親が優しく子どもを褒める機会を増やすためには、マイナスな行動をする子どもを叱り続けて出来るようにするにではなく、子どもにプラスな行動に気づかせれば良いのです。その結果褒められることが増えて、親の関心を集めるためにますます良い行動をしようと頑張るはずです。 
 今でもやって欲しいことは言っているのに全然言うことを聞かないから無理!と諦めそうになった親御さんはいませんか?大丈夫です。 行動 に気づかせて、定着させるためにはステップがあります。こどもの「親に注目してもらいたい」という気持ちを上手に利用してプラスの行動を増やして行きましょう。

ポイント


⒈日常で普通にできていることを褒めていきます。

今日は一回で起きてすごいね。(本当は起こさなくても起きて欲しいがそれを言わない)
 

2.やって欲しくない行動はすぐに怒らず無視をする

 おもちゃが欲しいと大泣きしても背中を向けて視線を合わさず
 

3.やって欲しくない行動を子どもが自分でやめたら、すぐに褒める

  欲しいと泣いてたのに自分で泣き止んだら「自分で泣き止めたね」とほめる
 

4.なかなかやめられないこと事をやめさせるためには、まず始める前にお約束をする

「スーパーに行ったら走らないお約束が守れれば行きましょう。その代わりまもれなかったらすぐにかえりますよ」
実際走ったらそのまま帰ります。
(子どもはヤバイ!ホントに帰らされてしまう…と)思い、徐々に約束が守れるようになります。
 

5.興奮してお父さんお母さんの言っていることが通じない時は、落ち着くまで別の場所、落ち着く場所に一人にして関わらないようにしましょう

クールダウンとかタイムアウトと言います。家庭では部屋のすみ、机のしたや暗いところなど決めておくと良いでしょう。

6.どんなに言うことを聞かなくても、気持ちを切り替えたらすぐに褒めましょう

  なんでさっさとやらなかったのかと、子どもの気持ちに塩をふりかけるような言葉がけはしないでくださいね。(大人が腹だたしいのはよくわかりますが)

 

これだけでも四六時中叱ることも減ってくるはずです。出来て当たり前なこともまず褒めていくと、結構褒めることが増えます。結果褒められる喜びを感じ、大人に褒められようと頑張るはずです。
やってみて上手くいかなかったらご相談くださいね。
 

続 アタッチメントって知っていますか?

ここではアタッチメント行動を繰り返して行くことで子どもの気持ちがどのように育って行くのかをお話ししましょう。
大きく三つあります。
 

その1 大人を信頼し自分も信じられるようになれる

大人は近くにいてくれて自分のことを受け入れ守ってくれる存在と思えるようになります。
これは、自分(ボク、ワタシ)は困った時に助けてもらえる、愛してもらえる存在なんだと信じられるということでもあります。すごいと思いませんか?
 

その2 子どもの自律性を育む

アタッチメントって「くっついている」という意味だったはずだから、大人に頼りきって、依存性を強くして親離れしなくなるんじゃない?思われたかもしれません。でもアタッチメントとは依存性ではなくて、むしろ自律性を育むものと考えられています。
何かあったらそこに行けば絶対に守ってくれるはずだ、優しく可愛がってくれるはずだというとてもすごい見通しを子どもがつけられるようになると、本当に怖くて恐ろしい時以外は不安から解き放たれるものです。そして、そこそこ確実に自分を保護してくれる近くの大人を(お父さん、お母さん、おじいちゃん、おばあちゃん)を「安全基地」として、外の世界に自分から探検に出かけることができるようになるんです。これは親から離れて自分で動く始まりになります。動き回って探検して、心配になって時々お母さんのところに戻ってきて、その時しっかり受け止めてもらえるので安心して、また探検に出かける!って感じですね。お母さんにしがみついていてもホイっと離れて遊び出す。
積極的に外の世界に飛び出して、自分から行動を起こすことが可能になるのです。
これこそ自律の始まりだと思います。
 

その3 共感性や人の心、人の気持ちを感じる感性を育てる

たとえば不安で怖くてお父さんやお母さんにしがみついて来た時、お父さんやお母さんは子どもを受け入れながら「怖かったね」「もう大丈夫だよ」と声をかけながら抱きしめてくれます。この体験を繰り返すことで自分のことをわかってもらえていると感じ、守らていると実感します。子どもの崩れた情動をお父さんお母さんは立て直してくれるのです。
たとえば子どもが転んで痛がっている時、お父さんお母さんはそれがまるで自分の痛みのように感じられ、つい痛そうな表情をしてしまうことはごく普通なことだと思います。そしてそのとき「痛かったね」と言ったうえで「大丈夫だよ」「痛いの痛いの飛んでけー」と声をかけていくでしょう。これはお父さんお母さんが「社会的な鏡」となって子どものきもちを映し出してくれているんです。子供の気持ちと同じ(共感した)表情をし、子どもの気持ちにあった言葉をかけていくことを繰り返して行くと、親の表情と声かけの中から子どもは徐々に「自分の今の気持ちは・・・・なんだ」とわかるようになり、それをこんどはお友達の気持ちにもあてはめる事が出来るようになります。こうやって豊かな共感性や思いやりの力を身につけて行くのです。
 

アタッチメントに時期はあるの?

と思われていませんか?うちはもう大きくなったし手遅れだわ!とあきらめていませんか?いいえそんなことはありません。我が子が生まれて今日まで大きく育ててきた自分をまず褒めながら、もし自分が我が子の安全基地になっていないと感じたら、そに時がアタッチメントの時期です。我が子をしっかり抱きしめる、何であろうとまずは受け入れる、共感する、子どもの思いを言葉にしてあげる「つらかったね、いたかったね、怖かったね」
そして「父さん母さんはここにいるよ」と微笑んで見せる。赤ちゃんから大人になった子供まで、見つめて、言葉にして、抱きしめて、体温の温もりを感じてほしいと思います。
五感で子育てをするとはこういうことなのではないかと最近ようやく思えるようになりました。さあお父さんお母さんやってみましょうか!


アタッチメントって知っていますか?

 

アタッチメントという言葉は心の発達の世界では「愛着(あいちゃく)」とよんでいます。愛着と聞くと何となく、この子大好き!かわいい!愛している!なんていう親子間の「愛情の絆」のことにように思いませんか?実は文字通り原語attach「誰かが誰かにくっつこうとする」という意味なんです。
たとえば赤ちゃんが泣いています。お母さんは赤ちゃんに声をかけ、抱っこをします。するとピタッと泣き止みスヤスヤ眠ります。たとえば子どもが迷子になった時。子どもは不安で怖くて大泣きをしながら、いつもそばにいてくれるお母さんを探してまわります。そしてお母さんを見つけるといちもくさんにお母さんに近づき抱きついてしがみつく。お母さんも心配していたと抱きしめてあげる。すると子どもは安心してまた外に向かってウロウロします。このような行動をアタッチメントと呼んでいます。
とても当たり前なんですが何のためにするのでしょう?

いきものは生き残って繁殖していくために、いろいろな危機に対して警戒する構えを、
不安や恐怖という感情で進化させてきたと言われています。ヒトも例外ではありません。
「恐れや不安に対してどのように感じてどのように行動するか」が生きて行くために大切。ただ残念ながらヒトは生まれた時からこうした「自分で感じて行動するすること」ができません。お母さんやお父さん、その他育ててくれる周囲の人々によって、手厚く保護され、その感情を巧みに調整されなくてはなりません。そしてそうされることによって、徐々に
「自分で感じて行動できる」ようになります。

すごく不安ですごく恐ろしい時、そこから抜け出して行動するために大切な事はなんだと思いますか?
それは自分が守られて安全だと感じられる事です。
大丈夫だと思えるから、ちょっと怖くて少し不安でも外の世界に出て経験値を上げることができるのです。つらい時、心が崩れそうな時、いつも同じように受け止めてくれる父や母や優しい大人がいてくれることは、子どものこころの発達にとても大切なことなのです。
子どもの気持ちはどのように変わって行くと思いますか?続きはまたお話ししましょう。